不動産投資は、ハイリスク・ハイリターンの株やFX投資に対してミドルリスク・ミドルリターンで、賃貸物件へ投資することで長期間にわたって安定した賃貸料収入が期待できます。
不動産投資は、他の投資と比べて「老後の年金対策に効果的」「節税効果が高い」「生命保険の代わりになる」「インフレ対策になる」「管理・運用の手間が小さい」など多くのメリットがあります。
そのため、賃貸物件への不動産投資、なかでもニーズが多い都市部のワンルーム+(L・D・K)マンションへの投資に人気が集まっています。そこで、ワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資するメリット・デメリット、および投資するときの注意点について解説します。
目次
ワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資のメリット
不動産投資のメリット、およびそのなかのワンルーム+(L・D・K)マンションへ投資するメリットを紹介します。
1.人口減で空き室が増加しているなか、需要の増加が見込める
日本は本格的な人口減時代に入り、全国で空き室・空き家が増加、その一部は老朽化が進み、社会問題化しています。しかし、ワンルーム+(L・D・K)マンションは、都市部を中心に以下の理由により需要が増加しています。
1-1 単身世帯数(比率)の増加
東京都が2019年3月に発表した将来の世帯数の予測によると、人口減が続くなか、世帯数は配偶者との死別や若年層の晩婚化により単身世帯が増加。
2015年の669.1万世帯から2035年の723.7万世帯まで総世帯数は増加(2015年比1.08%増)し、2040年になってようやく総世帯数が減少に転じ、721.5世帯に減ります。
しかし、単身世帯が総世帯に占める比率は2015年の47.3%から2035年は50.4%、2040年は51.2%と増加。この結果、単身世帯数は、2015年の316.5万世帯から2035年364.7万世帯、2040年369.4万世帯と増加し続けます。
これにより、まだワンルーム+(L・D・K)マンションに対する需要は少なくとも2040年までは増加すると考えられます。
参照元:「東京都世帯数の予測」の概要
1-2 大都市では転入者が転出者を上回る
総務省が2020年6月に公表した全国の政令指定都市と東京都区内の21都市における転入者・転出者数は、21都市中、14都市で転入者が上回っており、人口の大都市への集中が継続しています。
転入者の中心は主に若者(単身者)が多いことから、大都市ではワンルーム+(L・D・K)マンションを含む賃貸物件への需要が旺盛です。
参照元:総務省データ「2020年(令和2年)6月の人口移動の概況」より
2.私的年金として長期間の収入が期待できる
老後に2,000万円不足すると金融庁が発表し、老後の生活資金を公的年金に頼らずに自助努力で何とかしなければならない現実が国民に突きつけられて大きな話題となりました。
一方で、平均寿命は毎年延びて長寿命化が着実に進んでいます。これにより、人生100年時代を見据えた生活設計が必要となり、長生きできることは幸せである反面、リスクになることを強く認識しなければならなくなりました。
そして、公的年金にプラスできるための資産形成、収入増を図る必要性があります。安定した賃貸収入が得られるマンション投資では、自己資金で購入、またはローンを早期に完済できれば、長期間にわたって老後の生活資金にできます。
3.節税効果が大きい
マンション不動産投資の金額のうち土地の取得費用を除いた金額は、減価償却費として毎年経費に計上でき、所得税を軽減できます。
また、現金や預貯金、および有価証券など相続税の計算では時価で評価されますが、不動産の場合、土地は時間より低い路線価、建物は固定資産税評価額で評価されます。土地は20%から30%、建物は30%から50%低く評価されます。
ワンルーム+(L・D・K)マンションの評価額は、ほとんどが建物の評価額のため大きな節税効果が得られます。また、200平方メートル以下のマンションなどの場合、特例の適用が受けられ、また投資用不動産はさらに30%から40%ほど控除して評価されることから節税効果が非常に大きくなります。
関連記事:なぜ建物の減価償却費は節税になるのか?
4.生命保険の代わりとして遺族の生活を保障できる
不動産投資の資金を銀行から融資を受けると、万が一の死亡に備えて団体信用生命保険へ加入します。万が一、死亡したときに保険金がローン残高の返済に充当されるため、遺族にはローン返済の必要がない不動産が残り、賃貸収入を生活資金として利用できます。
5.高い利回りと安定した長期間の収入が確保できる
ワンルーム+(L・D・K)マンション投資は、株式やFX投資などと比べると大幅な利益は得られませんが、逆に資産価値がゼロになるほどの大きな損失を被ることもなく安定した賃貸収入が長期間にわたって得られます。収入に大きな変動がないため、収益の見通しが立てやすく計画的な投資が可能です。
6.株式やFX投資と比べてリスクが小さく担保として活用できる
株やFXなどの投資では、元本がゼロになるリスクが非常に短い時間で起こり、対策を採る時間もなく元本がゼロになることがあります。不動産は、急激に資産価値が低下し、ゼロになるようなリスクはまず起こりません。
資産価値が徐々に低下していくことはありますが、対策する時間的な余裕があるため、資産価値が大きく低下する前に売却などの対策を取れます。
また、ローンを返済すれば、その不動産を担保にして新たに融資を受け、それを資金として不動産投資に回すことで効率的に資産を拡大していくことが可能です。
7.自己資金が少なくても投資できる
不動産投資には、ワンルーム+(L・D・K)マンション投資のほか、マンションやアパートの一棟投資、戸建て住宅への投資などがありますが、ワンルーム+(L・D・K)マンション投資はそのなかでは、最も投資金額が低く、少ない自己資金で始められます。
複数の不動産物件への投資ができ、空き室や不動産価値の下落などに対するリスク分散ができます。また、不動産を担保に購入資金を金融機関から借り入れをして投資できるレバレッジ効果(自己資金の数倍の投資ができること)があるため、さらに自己資金が少なくても投資が可能です。
8.管理・運用の手間がかからない
投資には大きなリスクが伴うため、株やFX投資では政治・経済・社会・企業業績や国家の財政状態などに関する動向や知識を常に注目していなければなりません。
しかし、不動産投資では投資の決断までは、さまざまな情報を集め、最適な投資判断をするために多くの時間を割かねばなりませんが、投資決断後は、不動産管理会社に一任でき、面倒な管理・運用の手間はかかりません。
そのため、現役の会社員や自営業者が投資する場合でも本業に集中できます。
9.インフレ対策になる
日本では長くデフレが続いていますが、インフレに近い将来、なる可能性はゼロではありません。
インフレになると預貯金は目減りし、老後資金に2,000万円を準備できても不足するリスクが生じます。しかし、不動産の価値はインフレとともに上昇し、また賃貸料も同様に上昇するため不動産投資はインフレ対策として効果的です。
10.出口戦略として売却が簡単
投資では、出口戦略にも注意が必要です。投資は余裕資金で行うのが原則ですが、現状の投資よりももっと魅力のある投資先が見つかることがあるかもしれません。
また、病気、災害、事業の失敗など突発的な事由で余裕資金が余裕資金とならなくなる可能性も考えられます。
そのときに、利益を減らさずに損失を抑えて、資金が必要なタイミングに投資を打ち切れる出口戦略を考慮しておく必要があります。
この点、株やFXは流動性が高いので、いつでも売却が可能です。一方、不動産は高額な物件ほど希望する価格で売却するには時間がかかります。
資金の必要な時期が決まっていると不動産の場合、価格を大幅に下げないと売却できない可能性があります。
しかし、不動産投資のなかでもワンルーム+(L・D・K)マンションは需要が高く、金額も低いことから早期に相場に近い希望価格で売却がスムーズにできる可能性が高く、急に現金が必要になったときに柔軟に対応できます。
ワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資のデメリットと注意点
1.空室・滞納リスクが大きい
ワンルーム+(L・D・K)マンションの1部屋のみに投資すると、空室になったとき、滞納が生じたとき収入がゼロになるリスクがあります。アパートやマンションの1棟に投資する場合は、すべての部屋が空き室になるリスクは小さく収入がゼロになる可能性は大きくありません。
そのため、複数の物件に投資し、リスクを分散できるように注意する必要があります。また、空き室や滞納リスクに備えた資金計画で投資を行うことが必要です。滞納リスクは、保証会社の利用や保証人を立てることで対策できます。
2.資産価値が下落するリスクがある
資産価値が下落は、投資全般に言えることでワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資のみのリスクではありません。ただ、建物は経年劣化が生じるので、原則として資産価値は必ず下落します。
不動産はワンルーム+(L・D・K)マンションであっても株やFXのように高い流動性がないので、物件価格が下落したときに売却をする可能性があるときは注意が必要です。一方、株やFX投資のように資産価値が半減、ゼロになるリスクは不動産にはほぼありません。
最も注意が必要なのは新築物件に投資するときです。新築物件は築年数が1年経過しただけで大幅に資産価値が減少します。
このときに何らかの理由で投資資金を回収しなければならない事由が生じると大きな損失が発生します。また、賃貸収入によるインカムゲインと売却益のキャピタルゲインの両方を期待して投資するときは資産価値の下落に十分な注意を払って物件を選ぶ必要があります。
対策としては、建物の資産価値は必ず下落することを前提にして投資する物件を選びます。物件の資産価値や下落率は、駅からの距離、周辺環境などの立地、建物の設備、修繕計画などで大きく異なります。
3.災害や事故・事件に遭うリスクがある
近年は、自然災害が巨大化し、また巨大地震も起こると予測されています。
耐震強度のあるマンション、およびハザードマップでできるだけ災害に遭うリスクの小さい立地に建つマンションを選びます。
また、分散投資する場合、1つの地域に集中して物件に投資することを避けます。災害への備えとしては、火災保険・地震保険に加入が必要です。また、確率は非常に小さいですが、事故・事件で売却や賃貸料の収入に大きなマイナスが出る可能性もゼロではありません。
関連記事:熊本地震を経験し分かった事。マンションは地震に強くありません
4.出口戦略を考慮した長期的な計画を立てて投資する
不動産投資では、物件が好きなタイミングで合理的な価格で売却するのは簡単ではないため、「どのタイミングで」「どのように売却」するかの出口戦略が重要です。
また、不動産投資のなかでもワンルーム+(L・D・K)マンションへの投資は、資産価値に占める建物の価値の比率が大きく、建物は経年劣化で価値が減少していくので特に重要です。
例えば、ローンの残高があるときに売却しなければならないと、ローン残高以下でしか売却できない場合、その差額を用意できなければ売却したくても売却できません。出口戦略を容易にするには、現金一括購入、またはローン完済までの期間を短くすることが重要です。
5.金利の上昇・修繕費用の増大
ローンを利用し、ローン返済中にインフレが起きると金利が上昇します。不動産投資では、インフレに連動して資産価値や賃貸料も上昇しますが、そのタイミングは同一ではないため、ローンを組むときに余裕を持った返済計画になるようにしておく必要があります。
また、建物は老朽化していくため、年数が経つにつれ修繕箇所が増え、その費用が増大していきます。また、入居者が入れ替わるごとに必要な修繕費やリフォーム費用も多額になっていきます。
6.収支のバランスを十分に検討
投資全般に言えることですが、特に、ワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資では、一度に複数物件への投資ができない場合、空き室やその他のリスクで費用だけが発生して収入がゼロである大きなリスクが起こる可能性があります。そのため、収入である賃貸料と経費(借入金の支払い、税金、管理費、修繕積立金、保険料など)を十分に考慮してリスクが発生しても問題ないように検討しておく必要があります。
ワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資のメリット・デメリットのまとめ
不動産投資のなかでも、高利回り・長期間の安定した収入が期待できて魅力的なワンルーム+(L・D・K)マンションへの投資のメリット・デメリットと注意点について紹介しました。
ワンルーム+(L・D・K)マンションへの不動産投資で、成功するポイントは、リスク回避の分散投資・ポートフォリオ上から複数物件の購入が可能で、かつローンではなく現金で投資できることです。
また、ワンルーム+(L・D・K)マンションの新築物件は、ニーズが大きいこともあり、賃貸料が高めに設定されているケースが多く見受けられます。
そのため、周辺の賃貸料相場の確認や、立地の利便性など市場調査をしっかり行うことや立地にあった間取りやセキュリティ面などの確認も必要です。
また、出口戦略として、15年から20年の所有でこの期間における賃貸料収入と売却時の損益を考慮して投資するようにしてください。